テスタの使い方

テスタの仕様
 テスタにはアナログとデジタルのものがあります。ここではポケットタイプの2つのテスタを比較して、テスタの上手な使い方について考えてみたいと思います。
アナログテスタ(サンワCP7D) デジタルテスタ(サンワPM10)
パネル
測定機能 直流電圧, 交流電圧, 直流電流, 抵抗, 低周波出力(dB),
負荷電流測定, 電池負荷電圧測定
直流電圧, 交流電圧, 抵抗, 導通, ダイオードテスト
特徴 入力抵抗:4kΩ/V
周波数特性:30〜100kHz
常に変動する値などを読み取り易い.
入力抵抗:10MΩ以上(320mVレンジでは100MΩ以上)
周波数特性:45〜400Hz
読み取り誤差が生じない.

 まず、テスタで電圧を測定する時に留意しなければならない事は、テスタの入力抵抗(内部抵抗)による負荷効果です。アナログテスタはkΩ/Vという単位で、1Vレンジに於ける内部抵抗値で示されます。4kΩ/Vのテスタの0.25Vレンジでの内部抵抗値は1kΩ、10Vレンジの時の内部抵抗値は40kΩとなります。一方デジタルテスタの内部抵抗値はアナログテスタよりはるかに高いので、測定ロスが小さくなります。一方、交流の周波数特性に関してはアナログテスタの方が優秀です。オーディオ用アンプなどの低周波(可聴周波数)特性などはアナログテスタの方が有利です。また時間的に変化する値を直感的に読み取る場合にもアナログテスタが便利です。また、アナログテスタでも入力抵抗が高いものがありますが、衝撃などには構造上不利です。用途に応じてアナログとデジタルを使い分けることが重要です。

測定器の負荷効果とは
 左の回路は電圧を測定する場合の理想的な回路を示しています。理想的な電圧計には全く電流が流れ込まずこの時の電圧計の入力抵抗は無限大になります。しかし現実の測定器は右の回路のように測定のためにわずかな電流を必要とします。その入力抵抗をRiで表したものが右の回路図です。当然入力抵抗が大きい方が、測定ロスが小さくなります。この入力抵抗(Ri)には電流が流れますので、全体の電流(I)に影響を与え、その結果、表示値がテスタの確度とは別に、実際にR1にかかっている電圧よりも低い値を示します。下に示す表は理論値、アナログテスタ、デジタルテスタの表示値を示したものです。測定対象によって負荷効果の程度が異なることに注意して下さい。この回路ではR1, R2の抵抗値が小さい時には測定ロスはあまり問題にはなりませんが、R1, R2が大きい時は測定ロスも大きくなる事を意識しなければなりません。


入力抵抗による負荷効果の比較
内部抵抗 R1:1Ω, R2:2Ω R1:100Ω, R2:200Ω R1:1kΩ, R2:2kΩ R1:10kΩ, R2:20kΩ
理論値 無限大 1V 1V 1V 1V
アナログテスタ 10kΩ (4kΩ/V-2.5Vrange) 0.999933338V 0.993377483V 0.9375V 0.6V
デジタルテスタ 10MΩ 0.999999933V 0.999993333V 0.999933338V 0.999333777V

その他の注意など
 抵抗を測るモードでは、電流、電圧は入力してはいけない.
 測定中はファンクションスイッチを切り替えてはいけない.
 測定時にテストリード部分やそのすぐそばを持たないこと.
 交流電圧はひずみの無いサイン波の場合の実効値を示す.

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