LTspice/SwitcherCADIII を使ってみる

LTspice/SwitcherCADIII とは?

 LTspice/SwitcherCADIIIはリニアテクノロジー社が無償で提供している回路シミュレータで、抵抗器、コンデンサ、インダクタなどの受動素子およびトランジスタやオペアンプなどの能動素子を含む回路の動作検証ができるソフトウェアです。実際に電気部品を使って組み立ててオシロスコープで測定するのと同じ様なことがコンピュータの中で行なえるソフトウェアです。オリジナルのSPICEはカルフォルニア大学で開発されたソフトウェアですがこれから派生した様々なSPICEがあり、LTspice/SwitcherCADIIIもそのひとつです。

LTspiceのスクリーンショット

 私は回路シミュレータを使い始めたばかりのビギナーですが、このページは私と同じように初めて回路シミュレータを使う方のために役立つ情報を提供できればと思っています。初めて使ってみた回路シミュレータは本当に感動モノでした。私のようなDIYerにはものすごいおもちゃになります。きっと電子工作の楽しみを何倍にもしてくれると思います。また、LTspice/SwitcherCADIIIを初めて導入するのにあたって、様々なページを参考にさせて頂きました。このページの下部にリンクを掲載しましたので訪れてみて下さい。

ダウンロード

 LTspice/SwitcherCADIIIは下のページからダウンロードできます。
www.linear-tech.co.jp/designtools/softwareRegistration.jsp

インストール

 ダウンロードしたファイルswcadiii.exeをインストールします。通常のソフトのインストールと何ら変わりなくインストール可能です。私がインストールしたコンピュータはWindows98で、とても古いものですが今のところ問題なく動作しています。回路が複雑になると処理に時間がかかりすぎるのかも知れません。

LTspice/SwitcherCADIIIの使い方

 "LTSpice/SwCADⅢを使う by Kimio kosaka"のLTSpice/SwCADⅢ入門(PDF) で基本操作が短時間でマスター出来ます。また、"LTspiceによるシミュレーション例"でも解りやすく解説されていますので初心者にとって大変参考になります。

デバイスの追加

 LTspice/SwCadIIIはリニアテクノロジー社製のデバイスは充実していますが、日本で馴染みのあるデバイスや他社製のデバイスは部品として用意されていません。そこでデバイスの追加方法を覚えなければなりません。デバイスの追加登録は".MODEL"から始まる記述で定義する方法と、".SUBCKT"で始まる記述で定義する方法があります。これらのステートメントをまとめてSPICE MODELと呼ぶようです。インターネットで"SPICE MODELS"というキーワードで検索すると多くの情報が得られます。

 ".MODEL"による記述はダイオードやトランジスタなどの単純なデバイスに適用される方法で、".SUBCKT"による記述はオペアンプやその他のICなど複雑なパラメータを持ったデバイスに適用される方法です。

 SPICE MODELはデバイスメーカーのサイトからダウンロードできるものもありますが、基本デバイスであっても意外とネット上で見つけられないものもあります。また、LTspice/SwCadIIIはSPICEの派生プログラムですが、実に多くの種類のSPICEがしあり、どのモデルも完全互換でそのまま使えるというものではなさそうです。とりあえず私が実際に行った方法を以下に紹介したいと思います。私が追加したデバイスは".MODEL"ステートメントによる東芝のトランジスタ2SC1185、".SUBCKT"ステートメントによるテキサスインスツルメントオペアンプのTL072とTL082、ナショナルセミコンダクタのコンパレータLM393とLM339、汎用デジタルロジックICの74HC04と74HCT04です。

".MODEL"ステートメントによる部品の追加

トランジスタ2SC1815の追加
まず、2SC1815の".MODEL"ステートメントはSpice and ModelページのモデルライブラリのBipola Transistorからダウンロードできます。先人の労に感謝して2SC1815をダウンロードします。そしてトランジスタのパラメータが記述されているファイルは次のファイルです。
C:¥Program Files¥LTC¥SwCADIII¥lib¥cmp¥standard.bjt
このcmpフォルダには基本的なコンポーネントの.MODELファイルがすでに多く登録されています。ここでダウンロードした2SC1815をテキストエディタで開き、全てをコピーします。次にstandard.btjをテキストエディタで開き、行末にペーストして".MODEL"ステートメントを追加して保存します。2SC1815の追加はこれで完了です。

".SUBCKT"ステートメントによる部品の追加

オペアンプTL072の追加
テキサスインスツルメンツ社のSPICEモデルはメーカーサイトからダウンロードできます。ダウンロードしたファイル(ti_spice_models)の中からTL072とTL082のモデルを探し解凍します。解凍されたTl072.301とTl082.301をテキストエディタでひらき、それぞれをコピーペーストでTI.libという名前で新しいテキサスインスツルメンツ用のライブラリを作りました。このTI.libはC:¥Program Files¥LTC¥SwCADIII¥lib¥subフォルダに置きます。次にサブサーキットによる定義では回路図中で使われるシンボルが必要です。C:¥Program Files¥LTC¥SwCADIII¥lib¥symの中にLTSpice/SwCadIIIが使用するシンボルファイルが収められています。5ピンの汎用オペアンプ用としてopampsフォルダの中にopamp2.asyというシンボルが用意されていますので、これをコピーし名前をTL072.asyに変えてダブルクリックで開くと、LTspice/SwitcherCadIIIのシンボル編集画面で開かれます。そしてこのシンボルにどのライブラリのどのサブサーキットを参照するかを関連付けします。メニューからEdit=>Attribute=>Edit Attribute(Ctrl+A)で"Symbol Attribute Editor"が開かれますので、次のように記述します。


 SpecialModelに先程用意したライブラリ名を記述し、Value2にそのライブラリ内のサブサーキット名を記述しています。Valueは回路図中でシンボルのすぐそばに表示されるデバイス名です。尚、SpecialModelの入力欄はライブラリを記述するための入力欄というわけではなく、SPICEのバックエンドにパラメータを渡すための欄のようです。Symbol Attributeを編集したら、シンボルファイルを保存してTL072の登録は完了です。TL082も同様にします。

コンパレータLM393の追加
 基本的にオペアンプの追加と同じです。LM393のSPICE MODELは同じくテキサスインスツルメンタルのti_spice_modelsの中にあります。シンボルはLM393とコンパチなLT1017をコピーして使いました。

汎用デジタルロジックIC 74HC04, 74HCT04の追加
 このSPICEモデルはLTspiceユーザーグループのライブラリから入手しました。サブサーキットが記述されたライブラリファイルとシンボルファイルがダウンロードできます。非常に多くのシンボルが用意されていますが、当面必要な74hc04.asy, 74hc14.asy, 74hct.asy, 74hct14.asyのみをsym¥Digitalフォルダにコピーし、ライブラリは74hc.libと74hct.libをそのままsubフォルダに置きました。この部品を使う場合は回路図に部品を配置した後、SPICE Directryでライブラリを毎回インクルードしなければなりません。不精な私にはちょっと面倒に感じたので、シンボルの属性を以下のように変更しました。これによって、インクルード命令を毎回入力せずに済むようになりました。この部品は部品上で右クリックすると電源電圧のVCCをパラメータとしてバックエンドに渡すことが可能です。View=>SPICE Netlistから確認すると、"Symbol Attribute Editor"の一番下ModelFileに入力された内容はそれを引数に.LIB命令としてバックエンドに渡されるようです。

リンク

LTspiceSwitcherCadIII
ダウンロード www.linear-tech.co.jp/designtools/softwareRegistration.jsp
LTspice User Group http://groups.yahoo.com/group/LTspice/

LTSpice/SwCADⅢを使う http://www.geocities.jp/ltspice_swcadiii/
LTspiceによるシミュレーション例 http://homepage1.nifty.com/ntoshio/rakuen/spice/
ベルが鳴る http://www.d1.dion.ne.jp/~river_r/bell/

SPICE MODELS
TI Spice Model Resources http://focus.ti.com/analog/docs/gencontent.tsp?familyId=2&genContentId=884
Spice and Model http://www.madlabo.com/mad/edat/spice/index.htm
SPICE Model Resources http://www.emwonder.com/spicemodels/
Links to Online SPICE Resources http://www.penzar.com/links.htm
Models http://www.aplac.hut.fi/aplac/models/main.html



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