PIC開発の過程

 PICマイコンで何か制御をしようとする時、PICマイコンにプログラムを書き込む必要がありますが、その前にPIC周辺の電気回路を設計しなくてはなりません。それらを含めた開発手順は大体以下のようになると思います。

PIC周辺の設計

1.全体の構想
 例えば、プッシュスイッチが押された時だけLEDを光らせるという装置を作りたいとします。

2.PICの機種選択
 I/O点数、その他の機能(AD変換を行なうか等)を吟味して使用するPICを決めます。

3.PICの外部の設計
 スイッチやLEDなどの外部デバイスをどのポートに接続するか、電源をどうするか等を決めます。

4.具体的なプログラム動作を設計する
 できればフローチャートを使って、できるだけ具体的にプログラムの動作を設計します。フローチャートはいわば、PIC動作の仕様書となりますのでとても重要です。人に見せるわけでなければ、厳密なフローチャートの書式で書く必要は全くありませんが、プログラムの流れが自分でしっかり把握できるようにしておく必要があります。プログラムの修正を行なう場合には、このフローチャートが役立ちます。また、フローチャートのできでプログラムの性能や組み易さが決まります。

プログラミング〜書き込み

1.プログラミング
 フローチャートを参照しながら、プログラミングを行います。
 PICのプログラムはアセンブリ言語をはじめとし、C言語, Basic言語などで書くことができます。マイクロチップテクノロジー社が無償で提供している統合開発環境(開発ツール)MPLAB IDEにはプログラムを記述するためのエディタやMPASMというアセンブラが含まれていますので、MPLAB IDEだけで初心者には充分なプログラミングが可能です。

2.コンパイル
 アセンブリ言語で目的のプログラミングを記述したソースファイルは、MPASMでコンパイルします。ソースファイルはアセンブラによって機械語に変換されバイナリファイルとして書き出されます。ソースファイルの拡張子には.asm、バイナリファイルの拡張子には.hexが付加されます。

3.ライティング
 バイナリファイルが出来上がったら、いよいよ書き込み作業です。CDを焼くのと何ら変りは無く簡単な作業です。
 パソコンのCOMポート(もしくはUSB)にPICプログラマを接続してPICPGMを立ち上げます。そして先程作ったhexファイルをPICPGMに読み込みます。対象のPICをPICプログラマーへセットし、"プログラム"ボタンを押すと数秒から数十秒で書き込みが終わります。

実装と動作確認

 PICにプログラムを書き込んだら、電源やスイッチ等を組み込んだ基板にPICを実装し期待通りの動作をすれば完成です。


アセンブリ言語について
 アセンブリ言語とは最も機械語に近い言語で、昔はアセンブリを機械語に直す作業を人がやっていたという事もあるそうです。アセンブリ言語はほとんどの命令がアセンブリ1ワードに対して機械語1命令です。このような事からも解るように、PICマイコンをアセンブリ言語でプログラミングする為には、PICのメモリ構造をある程度理解する必要があります。メモリを直接操作するようなイメージでプログラムするという感じです。また、PICに用意されているアセンブリに命令はわずか35命令のみですので、アセンブリだけで複雑な計算処理を行なうのは沢山の小技が必要です。複雑な演算が必要な場合にはライブラリを沢山もったC言語が用いられます。


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